「死ぬのが怖い」と言って、泣いている子供にどういった言葉をかけたらいいかわからない方は多いのではないでしょうか。
この世に生まれて数年しか経っていない小さな子が死を怖がって泣いているのは、見てて胸が苦しくなってしまいます。
あなたの子が、大人でもなかなか意識しない「死」というものを意識し、恐怖を感じるのはなぜなのか。
また、どうしたらその恐怖を取り除いてあげられるのか。
私たちができる対応と、「死」の伝え方を考えました。
子供が「死とは何か」を考えるとき
子供が「死とは何か」と考えることは、成長の過程で必ず起こります。
死の存在を知って、「死ぬとはどういうことだろう?」と考えることは、成長している証でもあり自然なことです。
特に家族やペットの死を経験した子供は、悲しみの感情と向き合い、より深く考えることになるでしょう。
特に感受性の豊かで刺激に敏感な子は、頭の中で延々と死のイメージ巡らせてしまい、どんどん苦しくなってしまうこともあります。
そんなとき周りの大人は、どう対応したらよいのでしょうか。
まずは、なぜ人が「死」に対し恐怖や不安を感じるのかを知ることが大切です。
そして、「死」とはどういうものであるかを伝えてあげましょう。
人が死を怖がるのは3つイメージが原因
大人でも、ほとんどの人が“死”というものに恐怖を感じています。
「死ぬことに恐怖も不安も感じない」人の大半は、「死」を現実的に考えたことがないか、身近な人の死を経験したことがないのでしょう。
もしくは、「死」の正体を知っていてちゃんと受け入れられている人です。
私たちが「死」に恐怖や不安という感情を持つのは、主に3つの死のイメージが先入観として私たちを支配してしまっているからです。
- 未知のイメージ
- 物理的イメージ
- 精神的イメージ
ひとつずつ見ていきましょう。
未知のイメージ
人は未知なるもの、いわば、未だ経験していないもの、得体の知れないものに対して、恐怖や不安を感じます。
これは人間に大昔から備わっている一種の危機管理能力と言えます。
経験していない時間が長ければ長いほど、その恐怖や不安は想像によって膨れ上がっていくのです。
あなたも経験がないことや得体の知れないものに対して、恐怖や不安を感じたことがあると思います。
例えば、50年間生まれてから一度も飛行機に乗ったことがない人にとって、飛行機に乗ることはとても怖くて不安を感じるものです。
そしてその人は「鉄の塊が空を飛ぶなんて考えられない」と言います。
飛行機が飛ぶ仕組みを知らないうえに、乗った経験もないので、この人にとっては飛行機は未知で得体の知れないものなのです。
さらに生きてきた50年の間で、飛行機墜落のニュースや飛行機内を舞台にしたパニック映画を見ていたとしたら、さらに恐怖や不安を大きくなってしまうかもしれません。
でも実際に乗ってみるととても快適で、寝ている間にあっという間に目的地についています。
それ以降、乗る前の恐怖や不安が嘘かのように、飛行機での旅行を楽しめるのです。
人生で自分が直接死を経験できるのは人生の最後一回だけで、生きている間に思い描く死というのは、単なるイメージでしかありません。
経験したことがないことをいくら想像したところで、それは経験に勝ることはありません。
物理的イメージ
死を想像するとき「血、痛み、苦しみが伴う」ものと考えます。
これらは多くの人が経験したことのあるものであり、たやすくイメージができてしまいます。
さらにそのイメージからドラマや映画などでも、大量の血や役者の苦しそうな表情をもって“死”を演出することも多いです。
そのため、実際に死を経験したことがないにもかかわらず、「死とは、たくさんの血と痛みと苦しみが伴うもの」というイメージが出来上がってしまうのです。
精神的イメージ
物理的な死のイメージとは別に、「悲しい、別れ、存在の消滅」という精神的イメージがあります。
死んでしまうと、もう動くこと、話すことはありません。
二度と大切な人と会うことも抱きしめることもできなくなってします。
そして年月を経て、生前の思い出や記憶、存在が少しずつこの世の中から消え去っていくのです。
こういった死の精神的イメージは私たちの中に恐怖や不安を生むことになります。
これらが人が「死」を怖がる原因となる、「死」のイメージであり先入観です。
ですが、「死」は本当に怖いものなのでしょうか。
死ぬのは怖いことではない
「生まれたら死ぬ。」
これは世の常であり、至極当然のことです。
人生で一度しか経験できないこととはいえ、生物の存在がこの世に誕生してから36億年もの間、このサイクルが繰り返されてきたのです。
そう考えると、命が生まれ、成長し、命をつなぎ、老いて、死ぬ、時の流れの中に存在する変化の一つであると考えることができます。
季節が巡るように、命もまた巡っているのです。
子供への死の対応と伝え方
子供が「死ぬのが怖い」と言って泣いていたら、まずはやさしく抱きしめて、湧き上がる恐怖や不安などの感情を、まるごと受け入れてあげてください。
そして、
- 命が生まれ、成長し、命をつなぎ、老いて、死ぬ、時の流れの中に存在する変化の一つであること
- 死はすべての生き物が経験するもので、怖いものではないこと
をゆっくりとあなたの言葉で伝えてあげてください。
大人でも、誰かに「死はどういうものか」と問われたとき、言葉で説明するのはなかなか難しいかもしれません。
それを、子供のわかる言葉で、きちんと伝えるのはさらに難しいことです。
そんなとき、一番おすすめな方法は、絵本を活用することです。
絵本を通して「死とはどういうものか」を伝え、一緒に考えることで、子供の理解が深まり、死を怖いものではないと思えるようになるでしょう。
死に関する絵本は、たくさんありますが、中でも私がおすすめしたいのは、「葉っぱのフレディーいのちの旅ー」です。
実は、私も幼稚園くらいの年齢のときに、死ぬのが怖くて毎日泣いていました。
まとめ
死は、時の流れの中に存在する変化の一つです。
すべての生き物が経験することで、怖いことではありません。
怖いという感情のは、
- 未知で得体の知れないもの
- 痛くて苦しいもの
- 悲しみや別れつらいもの
というイメージからくるものです。
子供に、死がどういうものか言葉で伝えるのが難しい方には、絵本を活用するのがおすすめです。
死を考えることは自然の流れですが、死を必要以上に怖がって毎日泣く必要はないのです。
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